会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション 感想

感想

  • 会話におけるコミュニケーションとマニピュレーションと言う側面を初めて理解した。
    • 我々が普段会話の中でおこなっていることは、約束事を形成したり、相手を誘導しようとすることだと気づいた。
  • 作品のストーリー・あらすじも一緒に知れるので、面白い作品の内容も合わせて楽しむことができる。
  • 例として挙げられている場面が漫画・アニメ・小説寄りで、現実にありうるのか?と言う点は気になった

コミュニケーション

  • 定義
    • 会話において、約束事を形成する側面
    • ニに告白されたヨシカが、いったいどうしたらいいかと来留美に相談している。
      1 来留美「いいと思うけどな、付き合っちゃえば。あの人よく働くし、誠実そうだし。なによりヨシカのことがすごく好きなところがいいじゃない」
    
      2 ヨシカ 「うん、いい人なんだけどね。でもやっぱり結婚は一番好きな人としたいから」
    
  • 約束事を形成する流れ
    • 会話1で、「来留美はヨシカがニと交際するのをよいことだと思っている」という約束事を形成している。
      • 約束事は、必ずしも来留美が本当に思っていることである必要はない。
    • 会話2で「ヨシカはニとの交際に乗り気でない」「ニはヨシカのいちばん好きなひとではない」という約束事を形成している
      • ここで面白いのは、言葉として「乗り気ではない」と表現していないのに、我々は「乗り気ではない」ことを解釈できる点
    • こうして、だんだんと約束事が増えていき、後続する会話は、すでにある約束事に照らして理解されるようになる
    • 「文脈」とか「会話の前提」などと呼ばれるものは、このようにしてつくられていくと考えられる。

マニピュレーション

  • 定義
    • 相手の心理や行動を、自分の望む方向へと変化させようとする
      • 悪意の有無、相手を意のままに操るという意図の有無は関係なし
    • 会話1より、来留美はヨシカに「ニと交際するのはよいことだ」と思わせようとしていると考えられる。

コミュニケーションとマニピュレーションの例

  • 淡々と事実を語っているように見せかけて自分の有能さを相手に印象づけようとする。
  • はっきりとしたコミュニケーションにはならないように注意しながらひっそりと相手の心理を誘導する。
  • あえて必要以上にきちんとコミュニケーションをすることで自分は誠実な人柄なのだと相手に思ってもらおうとする。

コミュニケーションとマニピュレーションが明確にずれる例

  • (本書には記載されていないが)ダチョウ倶楽部の「押すなよ!絶対に押すなよ!」は、コミュニケーションとしては文字通り「押さないで欲しいと思っている」と捉えられるが、マニピュレーションとしては、「押して欲しいと思っている」となり、わかりやすくコミュニケーションとマニピュレーションがずれる例である。

  • また、コミュニケーションとマニピュレーションを区別した上で、「第六章 本心を潜ませる」に記載されているONE PIECEの例を読むと、理解が深まるため、「会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション」を購入された方はぜひ読んでみて欲しい。